どうも天田四郎です。
先週から「NotebookLM」を試しに使ってみたので、それをエッセイ風にしあげました。
GoogleがNotebookLMなるものを世に送り出した。いわゆる「自分専用AIマシーン」で、こいつに食わせた資料を基に、質問に答えたり要約したりしてくれるらしい。ネットの海から拾ってくるのではなく、こちらが選んだ情報源だけを頼りに動くのがミソだ。情報過多の現代で、自分の頭を整理する道具として、これほど合理的なものはないかもしれない。
試しに使ってみると、その実力はすぐにわかる。たとえば、積み上がったPDFやYouTubeの講義動画を放り込んで、「要点を教えてくれ」と訊けば、ものの数秒で核心を突いた回答が返ってくる。まるで優秀な秘書がそばに控えている感覚だ。情報源を集めるのが肝心、とわかっていても、日々の仕事に追われる身にはそれすら億劫になる。そこをNotebookLMが肩代わりしてくれるわけだ。たとえば、先週読んだ経済学の論文をこいつに預けて、「この理論の弱点は何か」と尋ねてみた。すると、まるで大学院生が徹夜でまとめたような分析が返ってきた。時間にして10秒もかからない。これがAIの力かと、感心するより先に効率の虜になりそうだ。
ただし、便利さの裏には落とし穴もある。このツール、確かに賢いが、あくまでこちらが与えた範囲内でしか動かない。ネット検索をしない潔さは評価できるが、逆に言えば、自分の視野の狭さをそのまま映してしまう鏡でもある。情報源の選択が偏れば、NotebookLMのアウトプットも偏る。たとえば、陰謀論の資料ばかり食わせれば、こいつは平然とその枠組みで答えてくるだろう。AIに知能はあるが、判断力はない。そこを見誤ると、効率化のつもりが思考の怠惰に直結する。
面白いのは、こいつが音声で要約を語ってくれる機能だ。男と女の声で、まるでポッドキャストのように内容を説明してくれるのだが、これが意外と癖になる。人間の脳は、活字より音声の方が感情に訴える力が強いという研究もある。忙しい朝、コーヒーを淹れながらNotebookLMに昨日の資料を喋らせてみる。すると、まるでラジオを聴くような気軽さで頭に情報が入ってくる。これが習慣になれば、通勤時間すら知的生産の場に変えられるかもしれない。
とはいえ、NotebookLMに頼りすぎるのも考えものだ。情報収集が効率化されても、それをどう解釈し、どう活かすかは結局、人間の仕事である。たとえば、こいつに「この資料から新しいビジネスアイデアを出せ」と頼んでも、返ってくるのはあくまでデータの組み合わせにすぎない。創造性や直感といった、人間ならではのひらめきは期待できないのだ。情報過多の時代に、AIは確かに強力な武器だが、それで戦う戦略を立てるのは自分自身でしかない。
結局、NotebookLMは道具にすぎない。使いこなせば、頭の中の霧を晴らし、時間を節約してくれる頼もしい相棒だ。だが、こいつに思考を丸投げすれば、ただの操り人形になる。情報源を集めるのがキモだというなら、その選び方と向き合い方にこそ、自分の知性が試されている。現代を生きる我々に必要なのは、AIの力を借りつつ、それを支配する冷静な視点なのかもしれない。さて、次は何をこいつに食わせてやろうか。
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